
XLⅡを買ったきっかけ
C414 XLIIは、元々配信用マイクをSM7bからコンデンサーに替えようとして、自分的にはSHURE KSM32でほぼ購入が決まりかけていたのだが、参考として弟にもレビュー動画を色々見てもらった事がきっかけで、結果購入に至った。
というのも、当初個人的にはKSM32がSM7bからの移り先として、最も視聴者に違和感を与えず、かつ自分の声質にもマッチしていると思ったのだが、たぶん見てもらったのはBooth JunkieのTLM103との比較だったろうか、あんまり良くないんじゃないかという意見をもらった。
その時に自分の思考過程を全て説明して、TLM102で声が明るかったり細くなってたから、原音に近いフラットな周波数のマイクにしたいと言い、候補としてはAKG C414 XLSとか、オーディオテクニカAT4050などがあるよと伝えた気がする。
しかしレビューを見てもらうと、これら全部俺に合わないんじゃないのという話になり(弟の印象では自分の声はかなりハスキー)、そういえばC414は女性配信者だけどかなり有名な人が使っているXLII というバージョンがあるよというと、これが一番合う気がすると言われた。
というのも、弟と日本のジェイ☆チャンネルさんというこれもマイクのレビューなどをされてるチャンネルで、C414 XLSとXLIIの比較を見た際、「XLSの方がストレートに声がきて耳が疲れる」という事を言っていて、その後海外のラップの比較なども参考に(CLEAN MUD VIDEOS)、単に録れた声がXLIIの方が好きという意見ももらい、試してみる価値はあるという事でXLIIに決まった。
(ただし結構良いねとなったTLM103とXLIIを歌で比較したビデオだが、これがXLSだったというチョンボを犯していた事に後で気がついた)
実は今は手放してないのだが、たしかに普通に良いマイクだった。ただ、一時期XLII を使っていたあのPewDiePieが現在はElectro Voice RE320を使っているように、やっぱり配信ではダイナミックで十分だったり、あとは結局周波数傾向が自分にすごく合っていたわけでもなかった、というのが感想になる。
とにかく、ここからやっとマイクの細かい話をしよう。
XLⅡレビュー
C414シリーズの特色なのだが、ダーっと直線が続いた後に1000Hzあたりが若干下がっていて、これによりXLS・XLII共に耳に痛い感じを低減し、ナチュラルな録れ感を実現している。さらに、ローカットが豊富で160・80・40Hz(たしか160だけ6db/octで80・40が12db/oct)と3つもあり、ソフトウェアで入れたEQより自然な形で、近接効果など下の方の周波数を調節できる。
さらに、実は指向性でも周波数傾向が若干変わり、1人しゃべりで使うならワイドカーディオイド・カーディオイド・ハイパーカーディオイドの順に音が明るくなっていて、普通に使えばカーディオイドが一番自然、ハイパーカーディオイドは結構ピーキーな明るさになるがもしかしたらみこちはこれかな?などと考えている。(みこち=ホロライブのさくらみこ。インターフェイスはBabyface Pro FS。また、XLIIは湊あくあも使っていた。インターフェイスはGo XLR。あとワイドカーディオイドは全指向性の真横に位置するため、近接効果が少ない分部屋の音をかなり拾う。)
これらの機能で自分の目的に合ったカスタマイズができる上で、さらに5000以上など高周波数帯のブーストがデフォルトでかなり大きいので、前述の通りかなり声が明るく聞こえるマイク。明るく聞こえる度合いとしてはTLM102よりもだいぶ上で、しかし102と比べ細くなってる印象は受けない。
付属の風防やポップフィルターがかなり優秀で、マイクにはめる前者は喋りで使うと口のぺちゃくちゃがほぼなくなり、口とマイクの間に網を置く後者ならかなりの解像度で録れ、歌に最適(網は薄いのが2重って感じ)。見た目も金色で王様感・主人公感がありかっこいいが、結局こういうの↑をかませて使うのでそんなに見えない事は留意しておこう。
また、マイクホルダーは完全に固定して物理的に落ちるのが不可能になるタイプではなく、単にねじって締め付けるタイプのため、上下逆様にして放っておくのは危険。あとホルダーは素材感がプラスチックで少し安っぽいと思う人もいるかも。けどマイク本体の音質もめちゃくちゃきれいで、正直かなり良いマイクだった。
所感
じゃあなんで使わなかったのかというと、やっぱり結局明るくなるマイクは合わない。自分だと自明なのになんで他の人に聞いてもらうと意見がズレるのか?に関しては考えてみたが、やはり人それぞれ耳の敏感さ、特に高周波数帯がどれだけ聞こえているかが丸っきり違う。
自分は英語を10年以上やってきているから分かるが、日本人は未経験から訓練し始めた時点では、そもそも他の言語の子音が含む高周波帯の音を、かなりの割合認識できていない事に気づく。それに加え普段からマイクの音質を気にするタチのため耳が繊細なのか、日常で不快な音(代表的な例では黒板に爪をたててこする音)が出た時、自分は飛び上がるのに対して、弟は不快だと思ってもいない。
つまりこの”明るくなるからダメだ”もぶっちゃけ一般的な耳のリスナーならそう思わなかった可能性もあり、だったらXLII、使っていても良かったのかもとはちょっと思う。
ただ、冒頭にも書いたが配信においてはダイナミックマイクで十分というか、自分みたいに実家に滞在する際にたまに長めになる可能性がある(ここは弟の都合)人間には、2部屋トリートメントをするのがしんどすぎる。
実はマンションの部屋割りを変えて広い部屋に移らせてもらってからはXLIIを使っていないので、それだけレビューできなくて申し訳ないが、でもRODEのNT1-Aでかなり空間感が出ていたので、広くなったから反響の問題が改善するというわけでもないのだろう。
(SM7bに関してはほぼボワボワがなくなったので、狭い部屋の反響が入っていたというよりは、部屋が狭いためスピーカーの低音が膨らんでいただけで、マイクのせいではなかったのかもしれない。ただし前も書いたように、同じ環境でも有名な人のどの配信でもボワボワしなかったので、やはり距離感等は注意しないといけないマイクな気がする。)
あと、ここまで書くと余談だが、昨今の傾向的にはVTuber×コンデンサーマイクが、親しみを持ってもらうベストな環境なのかもしれない。実写カメラを使っている人だと既に顔が見えているわけで、コンデンサーは生々しくなりすぎる可能性があり、VTuberよりはダイナミックの割合が高めというか、有名な人でダイナミックもざらにいるという印象。自分の場合、以前はアバターを使っていた時期もあったが今はマイクのみがベストという判断で、そういう配信だと太く録れるマイクでFMラジオっぽく行くか、コンデンサーで声だけでも解像度高くするかは人それぞれかも。ただ、VTuberだけは音質が低いと余計絵が動いている感が高まるというか(ロボットっぽい?)、市場は最適な方向に動くという前提で、稼いでいるVはコンデンサーばかりだと思うので、キャラクター×リアルなマイクが最適解なのかなとふと思った。
結論
まあ結局、録った自分の声を聴いてこれでやっていけるなとか、テンションが上がるかとか、そういう演者のモチベーションになるのが最も重要なのかなと思う。自分の声に自信がないと話し方にも反映されるから、良いものが録れない。そこを考慮した時に、やっぱり元々声優みたいな声質じゃない自分はリアルにしても…という感じ。あと、ほんとにたまたまだけど、SM7bが異常に向いてる声質なんだと思う。ハスキーな声はリアルに録ると「きたなくね?」となる場合もあるが、SM7bは元楽器店員の方のブラインドレビューでも言ってたように「ざらざらとした」質感で録れるマイク。なので、そもそも7bってこういう感じになるよね、となりハスキー感が気にならない。
ここまで書いてきて、これはもはやSM7bのレビューになってしまっている感もあるが、TLM102の時と同じく、女性の方は必ずチェックしたいマイクだと思った。またこの2つだと、リアルな声質を残したい人はNeumann、ローカットや指向性で手軽にアニメっぽい声を作れるのがXLIIで、昔なら後者の方が高かったのだが最近は1万円も差がないくらいなので(XLⅡセール時)、レビューを見て音が好きな方を選べばいいし、見た目が好きな方とかでも別に良いと思う。声を高く聞かせるならどっちも最強格で、どちらかを持っている人がもう一方に替える必要性も特にない。Podcastageがマイク比較でよく言うように、「違いはあるけどどっちかを持ってるならそれは正解。安心して使っていい。」
ちなみに試したインターフェイスはAG06・Babyface Pro FSです。Steinberg UR-RT2も持っているのだけど、ほんとに一瞬しか試さなかったような。これは明確な理由があり、同じYAMAHAでも(正確には子会社)完全に音楽用途の機材になってしまうので、それだとBabyfaceの下位互換になってしまうんだよね。まあ細かい事を言うと音質が少し違うけど…。またこのインターフェイスもレビューします。以上!
ちなみに
※1. 最後に、AT4050・4040のサンプルとして、弟も既に知っているTOP4、レトルトさん・牛沢さん・ガッチマンさんなどを聞いてもらったが、1つ気になったのが、AGを使っているレトルトさんの音がちょっとギリギリしていて、牛沢さんは元々の声質が良いのは分かっているのだが、Bridgecastがかなり良いのかなという印象も受けた。長年AG06を使っていて、ホワイトノイズが多かったり、あとこれが知りたいのだが、YAMAHAのD-Preが優秀すぎて、これでもまだ配信には音質良すぎ?というか生々しい?という説がある。同じ活字媒体である他のブログでも、AGは自分の声って感じ、Bridgecastはロボット感があると書いてあるのだが、自分ではもうちょっとラジオっぽくても良いかなと思っており、悩み中。”日本のラジオ局のマイク”記事にもあったが、オールナイトニッポンの三研も該当することに、長時間メディアでは適切な(心理的)距離の遠さが負担のないリスニングに繋がってる気がする。
実はマイペースにApexなどをやられている配信者さんが、AGからBridgecastに替えて色々設定を試しているのを見かけ、少なくとも最初は「AGの方が良い!古いのにD-preすげえ!」となったのだが、設定を詰めていかれるにつれBridgecastもラジオ感が良いというか…こう思うという事はやっぱり歌にも使えるAGと比べるとディテールに差があるのかも。まあAGも本当は配信用ミキサーで、日本のコンデンサーマイクに合わせて暖かく聞こえたり、でも低域は出しすぎずちゃんと丸まって聞こえるようにも調整されてるし…(Babyfaceとの比較)。とにかく、AGの今の音もかなり詰めたがまだ満足ではなく、Bridgecastどうかなと思っているという話。誰かSM7b×AG and Bridgecastでサンプル投稿してくれないかな…。
※2. ATシリーズのレビューで、日本のチャンネルなんだけど、Advance Promotion Channelという所がかなり丁寧に作っておられて、今もたまに見ている。後で絶対伸びるけど、チャンネル名がビジネスっぽくてそこで損をしている?気はする。余計なお世話だけど。(追記:チャンネル紹介文に”アドヴァンスプロモーション所属のタレントによる「やりたいことを形にする」チャンネル”とあるので、そもそもマイクレビュー専門のチャンネルじゃないらしい。これ個別に作ってたらもっと伸びてたんじゃないか!?)
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