
EarthWorks Ethosは、YouTube上で最も有名なマイクレビュワー・PodcastageのBandrewの紹介を見て、少し高めな彼の声が史上最も良く聞こえたマイクだったので買ってみた。
実際に使ってみた感想としてはまず、まさかのSM7bよりさらに声が暗く録れるマイク、だったのだが、最近改めて録ってみるとまた違った感触を感じた。
というのも、特にBabyfaceのような音質が高いインターフェイスにおいて、30000Hzまで録れるスモールダイアフラム・コンデンサーマイクの少し細いが解像度が高い感じと、ポップフィルターがSM7bよりも分厚く、中にも形容が難しいが着脱可能のクッションみたいなやつが入っており、それの暖かみの部分がかなり分離して聞こえるような印象を受けたのだ。
このスモールダイアフラム、でかつハイパーカーディオイドなので、コンデンサーなのにSM7bより反響を拾いにくいのは配信用途で圧倒的なメリットである。しかし、SM7bが暗くどっしりした感じをしつつ高音部がちょうど良いポップフィルターでシルキー、全体的にまとまりのある音なのに対し、Ethosは上記で言う高音部は繊細すぎ、低音部もさすがに盛りすぎに思える。よって、当初の売り文句は「SM7bの上位互換」だったものの、むしろ高音低音両方に余計なものを付け加えてしまった作品だと考えている。
・・・
ただし、このマイクには裏技があり、それを使うとSM7bとは全く方向性が異なる、極めてリアルな音で録れて反響も少ないマイクとして使える。
それが、Level Up with Mike Newmanが紹介していた、元々はThe Microphone Assasinが開発した手法で、「Ethosのポップフィルターを取り収音部分を眉間に対して向ける」という方法だ。元々マイクは下から向けると声が暗く、上から向けると声が明るく録れるという性質があるが、高めの位置からさらに口ではなく眉間を狙うことで、20Hzまでほぼ直線でかなり暗く録れるF特を緩和し、Earthworksの測定用マイクブランドらしい精細な録れ感のみを残す事ができる。
この手法で録った声はEQなしでそのまま聞ける仕上がりになっているだけでなく、Neumann TLM102のリアルすぎる録れ味と比べ、暗く聞こえるマイクを録り方で明るくしている分、気持ちイケボに聞こえるという利点もある。
残念ながらスモールダイアフラム特有の音の固さが残ってしまい、EQがあまり好きではない自分は使わない事にしたが、ボイスオーバーのプロであるThe Microphone AssasinはEQ込みで、「全然ボイスオーバーに使える」「めちゃくちゃ気に入っている」と言っており、本来意図された使い方ではないにせよ、このマイクの可能性が感じられる投稿であった。
(そもそもEarthworks内での兄弟機であるIcon ProはEthosのポップフィルターをなくして透明感重視にした機材なので、それを目指したチューニングと考えればむしろ自然ですらある。じゃあ最初からIcon Proを買えよという話ではあるが。あとおまけ情報で、Icon Pro=XLRとIcon=USB-Cだと後者の方が音が暗く、これはオーディオテクニカのヘッドセット+マイク、ATH-M50xSTSとATH-M50xSTS-USBでも似た関係をしている。なんでかは知らん。)
・・・
ちなみに、同じスモールダイアフラムでも、NeumannのKM184は低音がかなりすっきりしており明瞭で聞きやすく、ラジオ局でもTBSや文化放送が使用中らしいので、そちらもいつか試してみたかったりする。ただ、配信には結局ダイナミックマイクで十分という見方を最近はしているし、もう機材や設定も変えないと思うので、色々使ったり調べたりした知見を忘れない内に保存しているだけ、というのが正しい。
また他のマイクレビューも読んでね!それでは。
(そういえば、Bandrewの他の動画でもEthosを使っているものがあったが、レビュー本動画ほど良い声ではなくなっていた時があった。これはハイパーカーディオイドでマイクとの角度等がけっこうシビアだからで、その点ゲームなどに集中したい場合などは微妙だなと思った。反響を拾いにくい代わりにマイキングがずれるとマズいEthos、マイキングが寛容な代わりに部屋によっては反響が気になるSM7bと言った所で、私は部屋割りを変えて低音のぼわぼわがなくなった事もあり後者推し。)
Comments