
TLM102は、2018年頃に歌い手の”りぶ”に憧れて買ったマイクだ。
しかし当時の自分は音響の知識が乏しすぎ、主に”オーディオインターフェイスに繋げる大きい端子のヘッドホンを持っていない”というバカすぎる理由で録音の質が低く、かつミックスもたいして上手くなかったため1・2曲ニコニコに投稿して使用をやめてしまった。
しかしその後、YouTubeへのゲーム実況動画投稿を経て、2020年くらいに投稿ではなく配信活動に移行。しょっぱなの配信で「自分のSM58だと音質が低くてなんだかなあ」と思い、引っ張り出してきて2・3年使用した。
Neumann TLM102 レビュー
このマイクの音質だが、まず、自分の持っているマイクの中では、リアルに声を聞いた時と最も遜色のない(つまり実際に話しているのとかなり近い)感じで録れるマイクの1つだ。
このあたりは流石ノイマンで、マイクだけでなくヘッドホンのレビューも見てみて、このブランドの真骨頂は「録りたい音源の最も”おいしい”部分を効率良く拾い上げるノウハウにおいて、他社を圧倒している(authentic=ガチ)」」であると自分の中で結論づけた。
ただし、今自分が使っていない以上やはり配信者目線でのデメリットも存在し、それは声が高く・そして一番問題がある事に細く、聞こえてしまう事にある。
この特色はもちろん人それぞれメリットにもデメリットにもなり、再三書いているように最も有名な使用者は兎田ぺこらだろうが、アイドル的な売り方だと上記のような音質は女性らしく聞こえ都合が良く、実際彼女以外にもほとんどホロライブみたいな個人勢・しぐれういさんも使われている。(しぐれういさんは周防パトラさんという多分にじさんじの人?に勧められたらしい。この周防さんという方は音響のかなりガチ勢らしく、やはりNeumannはプロ御用達である事が伺える。)
しかし逆に、僕のような声が平均~若干高めの男性、もしくはそれよりさらに声の高い男性が使ってしまうと、さらに声が高く・細く聞こえる事で男らしさが皆無になり、あまりよくは聞こえない。昔のデータだが赤髪のともさんが使われているという情報を見たことがあるが、彼は女性みたいな声をウリにしているはずなので、例外である。
ただ、これもマイキングの巧拙だけの可能性もあり、自分が音響にハマってからは本格的には使っておらず、ちゃんと録ったら別段問題ない可能性もある。実際有名配信者だとニコニコ時代から有名なわいわいさんが使っており、配信でも良い感じに聞こえる。(ただしSNSの画像からリサーチしてみた所、彼のオーディオインターフェイスはBabyfaceですらないFireface UCXっぽいので、完全再現するにはクソ程お金がかかるのに注意)
また、僕が最近ハマっているYouTubeの朗読動画の中で、西村俊彦の朗読ノオト-人間失格/太宰治があるが、奇しくもその動画から彼がTLM102/Steinberg UR22を使いだしたというブログ記事があり、後処理がしっかりできる動画投稿でも、問題なく使用できると思われる。(つまり結局録り手の腕しだい)
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あと、初心者向きかどうかという視点では2つポイントがあり、個人的にはショックマウントも公式のものを用意できるなら初心者でも扱えると思った。というのも、まずハンドリングノイズというか、衝撃をかなり拾いやすい体質のマイクで、本体どころかコードにも触れてしまうのはタブーになるくらい繊細。そのあたりの話は、AudioFazeがしていた。ただし色々録り比べをした際に、ラージダイアフラム・コンデンサーマイクの中ではかなり部屋の反響に寛容で、その点高価な吸音材などそんなに気を使わなくても良いのはかなりのメリットである。これらより、上記の結論となった。
最後に、かなり音が似ているとされる兄弟機のNeumann TLM103だが、正直男性であればやっぱり102より103の方がだいぶ良いと感じる。有名配信者だと音にかなりこだわっている叶さんをはじめ、長年2050を使っていた加藤純一さんも使用中で、あと叶さんに機材をもらったりしているらしい葛葉さんも、sibilanceがけっこうキツめに聞こえたので103かなと思っている。これらの男性大物配信者が、102をあえて使う場面は想像しづらく、もちろん元々数字がある人がある程度マイクを変えても支障はないんだろうが、売れてる人だからこそ人に聞いたり、自分で調べたりで間違いない名機を選んでいるのだろう。海外のレビューもよく見ているというか、海外のレビューの方が圧倒的によく見る自分のデータベース的にも、102は充分声が低い人が使っても結局細くなってしまい、惜しいなという場面があった。(Jay Myers Voiceover)
おわりに
TLM102はかなり良いマイクで、後処理のできる動画投稿ならメインマイクになりうる実力を持つ。しかし配信だと人を選ぶし、僕が買った当時は60000円だったのが最近は90000円、しかも公式のショックマウントは別で20000くらいするという背景もあり、万人にオススメできるマイクではないと結論づける。
アイドルっぽい高く細い声で売っていきたい女性配信者の方は、合えば最強格のマイクなので検討してみて。今回は以上です。
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