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海外のストリーマー界隈では鉄板とされているが、暖かい声が手軽に録れる代わりに、欠点もある。
ゲイン少ない問題はクラウドリフターやゲインがデカいインターフェイスでどうにかするとして、個人的に意外ときつかったのが、部屋の反響が結構入ってしまう点。
元々解像度がけっこう高いマイクなのでゲインを上げると色んな音が入ってしまい、かといって近づくと低域が盛れてしまいボワボワする。ここのさじ加減が実は難しいマイクだ。
実際、YouTuberのぱくゆうさんの動画では、コメントで「SM7Bだと部屋の反響が入ってしまっていて良く聞こえない。声質的にもSM58が合っている」と言われており、このマイクは部屋のトリートメントが多少必要な以上1/3ぐらいはコンデンサーマイクとして考えるべきだと思う。
(ちなみにSM7Bの低音ぼわぼわ問題に苦しんでいる時、その数年前に使っていたゴッパチも試してみたが、低域はSM7B並みにある。違いは上の方の周波数が高い事なので、「SM7Bのプレゼンスブーストのみオン」の音に近いと判断した)
SM7Bの低域問題だが、ある程度部屋の大きな人・吸音の出来ている人は多少距離を取ることでマシになる。ただし、距離を取るとそれだけゲインが増え、先ほどの反響の問題に立ち戻る。また、このマイクは人によると「遠ざかるとSM58と違いが分からない」と言われており、実際ある程度”以上”の距離をとると、声がやせ細ってしまって7Bを使う意味がなくなるので注意。
そして最も相性が悪いのが小さな部屋の壁からの反響。140~150hzあたりが異常に膨らんでしまい、元々低域重視のマイクのためバランスが崩壊する。もっとも、私はPresonus Eris 3.5をスピーカーに使っており、何度録ってもスピーカーの時だけ上手くいかないと思っていたら、このスピーカーはかなりローが出てしまう製品だと気づいた。ただ結局、ホロライブとかにじさんじの配信をこの環境で流しても問題ないのに対し、自分の配信だけはずっとボワボワしてたので、リスナーさんの製品や部屋のサイズによってはボワボワしすぎて敬遠される程度の低域なのは事実。
ローカットも当然試したが、そもそも低域が味のマイクなので、切れば切るほどしょぼい音になる。80~100Hzあたりまでなら美味しい所はそれほど持っていかれないが、問題を根本的に解決するほどのインパクトはない。
結局、モニターに使っているSennheiser 560Sの音だけを信用して、今はスピーカー勢を捨てているような意識で配信している。
(これらの悩みをChatGPTに相談すると、やはり近接効果をキャンセルできるRE20を薦められたが、RE20はPodcastageも言っているように、フラットと見せかけて声が高く聞こえるマイクだ。海外のラジオDJなど元々声の低い人を良い感じに聞かせるのは得意だが、平均より少し高めの自分の声をちょうど良くする用途でSM7Bを選んだため、合わないと判断した。あとRE20はSibilanceも増えるのでプラグインが必須だが、今は外部プラグインを使わない設定のため、その点も見送る理由に。というか高い!)
けっこうディスってしまったが、メリットはもちろん、パッと繋げて録れば高域がマイルドで、特に配信など長時間聞いてもらいたい媒体向けの声が手軽に手に入る事。
特に初心者は、部屋の反響や低域などそこまで耳が発達していないので気にならず、とりあえずイヤホンやヘッドホン向けに心地良い声として、長いことやっていけるマイクと言える。
ただし色々こだわりだすと、大手の配信者=ホロライブ・にじさんじと比べて自分の声って抜け感がないなというか、最近の配信者の声じゃないよなあとは思ってしまう。特に昨今は実写の人も含めコンデンサーマイクの方が主流だし。
ただ、コンデンサーマイクの記事もまた書くが、やはりSM7Bでも気になる人・こだわってる人が違和感を覚える程度には反響が入るのだから、コンデンサーはトリートメントなしで使うと絶対に初見バイバイの音にしかならない。
有名配信者は配信関連の費用が経費で落ちることもあり、吸音パネルなど相当気を使ってるのだと思われる。(見たことある紹介動画だとTIE Ruとか)
少なくとも、私は5.6本?マイクを使ってきた経験から、配信初心者には絶対コンデンサーマイクは薦めない。
ただかといって、少なくとも自分の耳にはSM7BからMV7にすると音のクオリティが落ちすぎる。そういう意味ではけっこう良いダイナミックマイク、つまりSM7BとかAudio TechnicaのBP40(けっこう中域強め)とかは、音質と手軽さでけっこう良い落としどころではないだろうか。
最後に、私は一旦SM7Bでマイクの旅を終えることにしたが、「元々の声質に自信があるタイプ」なら、コンデンサーマイクで活動していきたかったなとうっすら思っている。
けど音響の知識があるのと実際に部屋のトリートメントを施す手間・金銭は段違いで、帰省時に反響がわんわんするのが嫌だったら2部屋分しないといけない。
その点今はSM7B一本で行き来できるし、リスナーさんもこの声に慣れているのだからと考えると、結局これでいいか…となる。
というわけでSM7Bは、「プロ中のプロなら環境込みでこれ以上を目指すが、手軽に、しかも十分戦えるスペックという意味では相当有用であるマイク。ただし声質によっては、この枠はRE20になる。」そんな感じのイメージだ。
久々にブログ書いてみました、バイバイ。
※色々試したのですが、マイクへのEQはなるべくしない派です。不自然になる。
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