前回、努力を継続するための習慣の続け方として、書籍「Atomic Habits」を紹介する記事を書いた。
この本の手法自体は数年前からずっとやってきたが、簡単に続けられる習慣と続けるのが難しい習慣があることに気づいた。
特に、目の前の本をただ読んで、重要な点をメモするだけでいい読書や、ゲームをつけてプレイしながら喋るだけでいいゲーム実況に比べて、独自のアイデアや情報の整理が必要なブログ執筆は、創造性が必要になる分習慣化するのが難しかった。
しかし、今回紹介するこの本のおかげで、「環境」が人間に対して最も影響力の大きなファクターであることに気づき、それを徹底的に見直すことで、習慣を続けられるだけでなく、短時間で集中して成果を上げられる、理想的な生活を送れるようになった。
今回は、その「環境」をどのようにカスタマイズしていくかについてシェアする。
タイトルにも書いたが、人間は環境の産物である。どれだけより良い自分になろうとしても、環境を変えない限り、すぐ元の自分に戻ってしまう。
原書のタイトルにもそれが表れており、「意志」と「環境」という単語は日本語版のタイトルにも入れてほしかったと思うくらいだ。
(「Willpower doesn’t work」は日本語で「意志力など役に立たない」。邦書の帯にも引用してある。)
この記事を読んだら、あなたも自分の環境をガラッと変えることを検討してみてほしい。
それでは始めよう。
本記事のまとめ
- 環境を最適化すれば、なりたい自分になるための習慣を毎日当たり前にできる。
- 気を散らす要因を全て排除し、仕事と遊びの環境を完全に切り離すことで、続けにくい習慣も続けられる。
- 朝にガっと集中したら、そのまま公園に行け。
環境に関する考え方
環境が10割
まず、あなたの世界観・信念・価値観は元々外からやってきたものだ。
住んでいる国や住んでいる場所、親をはじめとする人生の人間関係全て。そして、読んだり見たり聞いてきたことに、多分に影響を受けてきた。 (住む場所一つで収入が変わるというデータすらある。)
そして、それらはあなたがこれまでの環境に慣れた結果、あなたにとっての当たり前になった。
「人はどんな環境にも慣れる」と、「夜と霧」のヴィクトール・フランクルは書いた。
そして人は、状況に求められれば、倍の能力を発揮できる。試験前の追い込みなんかが典型的だ。
だから、今の環境を変え、あなたが成功せざるを得ないような状況に慣れることで、能力を発揮している状況を当たり前としよう。
感情は捨てる
目標設定は役に立たない。(これはAtomic Habitsにも共通する教えだ。)なぜならそれは、意志力によるアプローチだからだ。
意志力とは感情であり、感情を評価基準にしてはいけない。人の感情は一定ではなく、バイオリズムや季節の移り変わりにさえ影響される。
それに何より、成功に必要な「失敗」という経験、それによる試行錯誤を避けるようになるからだ。
だから、何か打ち込みたいもの、続けたいことがある時は、習慣によって淡々とやっていく。これが正解である。
良い習慣を当たり前にする
生物はデフォルトのものを選びがちだ。研究所のラットですらそうだし、喫煙者は喫煙所を見るだけでタバコが吸いたくなる。
これは、喫煙所という施設がデフォルトの選択肢になっているのがいけない。
ならば、悪いものを排除し、良いものをデフォルトにしよう。
習慣を実行する環境があるから、毎日その習慣を続けるのが当たり前になるのだ。
環境を最適化する方法
環境の切り替え
最も大切なことは、強ストレスと強回復を切り替えることだ。頑張る時と休む時を完全に分けることで、それぞれの行為に集中、いや没頭できるようになる。
具体的には、仕事だけの場所と休むだけの場所を物理的に切り離す。こうすることで、一方をしている時に、もう一方のことが頭に浮かぶことがなくなる。
できれば、仕事で使うPCと遊ぶ時のPCも分けた方がいい。仕事をしているのにワンクリックでネットサーフィンやゲームができる状況は、それらを起動させなくても集中力を下げる要因になる。
実際に、僕は執筆とゲーム・動画鑑賞でデスクとPCを切り替えることにした。
本当は物理的に距離を開けたかったが、部屋が狭いので、机自体はすぐ近くの関係にある。
しかし、それでもブログ用のデスクを使っている時は、ブログ関連のものやアプリしか使わず、ゲームや遊びのデスクの時は、好きなことを楽しむことに集中でき、それぞれの時間のクオリティが格段に増した。
ちなみに、今回新しく執筆用デスクを作るにあたり、以下の商品を購入した。
また、ゲーム用デスクとモニターアームの詳細は、過去記事にて書いた。
時間配分
仕事など、やる事に強烈に集中して1~4時間ほど過ごした後、その環境とは異なる場所で、リラックスして心を自由にさまよわせるのが、最適。
特にクリエイティブなアイデアが仕事に密接に関わる人は、集中時間が終わったらスマホなしで公園に行くと良い。
職場でひらめく確率は16%と言われており、ビル・ゲイツも、マイクロソフトに関わる優れたアイデアは、ほぼ全て休暇の期間に思いつくと言っている。
シャワー中にその時が訪れる、という話も多いが、人間の直観が働くのはリラックスしている時だと、科学的に証明されている。
個人的には公園に行く時間は、執筆の自分から遊びの自分に切り替わる儀式のような役割も果たしている。
朝をルーティンで固める
生産性を最大限に高めるために最も大切な時間は「一日の最初の3時間」である。
理由は、人間胃が空っぽの方が作業しやすくできており、食べ物を消化するエネルギーを減らせば、脳の処理量が増えるからだ。
そして何より、寝た後は頭の中のデスクに何も物を置いていない状態なので、新しいもの、難しいものとも格闘できる。
よって、先ほどの「1~4時間の強烈な集中」を朝に持ってくるのが、最も合理的である。
この時間帯に、重要なことはまとめて終わらせるくらいの意識で集中しよう。
整理整頓
不必要なものを捨て、当分使わないものは見えない所にしまう。
人間は視界に入ったものを無意識に処理してしまうので、不要なものを置いていると、脳のメモリの無駄遣いになるからだ。
服を選ぶのにもワーキングメモリ・意思決定力を使う。スティーブ・ジョブズのように年中同じ服を着ろとは言わないが、季節によってコーディネートを何パターンか用意しておくと、選ぶ手間が省ける。
書籍「スマホ脳」によると、スマホ・PCが近くにあるだけで物覚えが悪くなり、スクリーンが関連するもの全てが幸福度を下げると言う。
なのでスマホの使用頻度を下げるため、アプリも、普段使わないものは見えない所に置こう。(スマホが誰かの大事な習慣に密接に関連する可能性は低いと考える。)
オススメは、スマホのデスクトップの一番左のスペースを、「最悪なかったら困るアプリ」のみにすること。(僕はLINEとGoogle Map)
その右のデスクトップに、そこそこ使用頻度の高いものを置き、その右はお店のアプリなど、必要な時以外使わないものを置く。(ジャンルによってフォルダ分けすることで、スペースを確保する)
こうすると、スマホを開いた時に、「究極なかったら困るが必要なだけで面白いわけではない」アプリしか出てこず、誘惑を限りなく少なくすることができる。
技術や人に任せる
起業家・作家のアリ・マイゼルは、全てのプロセスを3つの戦略に分けている。
- 最適化 物事を効率よく機能させるため、邪魔なものを全て排除する
- 自動化 テクノロジーで可能なものを全て自動化する
- アウトソーシング 残ったものをアウトソーシング(外注する)
その結果、自分は自分にしかできない事に集中できる。
ここまで書いてきたことの中では、整理整頓が「最適化」、他の全ては「自分にしかできない事」の進め方にあたる。
では、他にあなたのやっている事の中で「自動化」・「アウトソーシング」できるものはないか?
ここまでできたら、あなたも立派な環境のプロだ。
環境に関する(?)格言
特に科学的根拠があるわけではないが、環境を変えて「やるぞ!」となっているあなたへ。そして、自分自身へ。