以前、「ひょんなことからApexをマウスパッドなしでプレイしたら、なぜかめちゃくちゃキルできるようになった」という記事を書いた。
しかし、後々考えてみると、マウスパッドなしの環境には、
- 摩擦力が机の材質にダイレクトに左右されるので、効果が人による
- 自分の机でしか条件が整わないので、再現性が低い
- マウスソールを痛めやすい
という弱点があることに気づいた。
だが、あの記事の執筆から半年ほど経ち、この”マウスパッド論”について、さらに考察が深まった。
人数は多くはないかもしれないが、うまくいく人も一定数いるはずなので、早速シェアしていこう。
結論
ソフトマウスパッドで手や腕を痛めやすかったり、どれだけ工夫しても上手くなれない人は、ハードマウスパッドに向いている可能性がある。
ハードマウスパッドのメリットは、
- 摩擦力が低く、細かいエイム調整に力がいらないので、合う人はエイム力が爆上がりする
- ハードマウスパッドは商品が限られており、特にお試し時は実質一択なので、迷わない
ハードマウスパッドの デメリットは、
- 基本滑りすぎるので、合うマウスが限られる(後に詳しく解説)
- 丸められないので持ち運びには不向き
- 面積が小さく、低感度には向かない(振り向き約20cm以下推奨)
次章より、ハードマウスパッド導入のきっかけと、メリット・デメリットの詳しい解説を行っていく。
ハードマウスパッド導入の理由
冒頭で紹介した、「マウスパッドなしプレイ」の記事だが、あれの成功理由は、僕の机が樹脂製で、固くて少しザラザラとした質感なのが、大きかった。
しかし、やはり日に日に、当時使用していたRazer Viper 有線、そのソールが消耗していくし、自分が一番実力が出せる環境設定が、自分に家でしか再現できないことにも疑問を覚えていた。
また、同じ時期に腱鞘炎+ある理由により、キーマウの調子がめちゃくちゃ下がり、一度リセットする意味でも、パッドに転向し、某記事の作成に至ったというわけだ。
(この、”ある理由”についても、また記事にする予定。エイム練習ソフトに関してだ。)
しかし、やはりキーマウでも上手くてこそのApexブロガー(別にApex以外のことも書くけど)。
お盆に実家に帰り、Apexができない環境で、ずっと「マウスパッドなし」のようにプレイでき、再現性のある方法を考えていた。
そして、思いついた。「あのハードマウスパッドっていうやつ、俺の机の表面とそんなに変わらないんじゃね?」と。
今まで、Apexの有名プレイヤーに使用者がいなかったので、ほぼ意識していなかったものの、樹脂製の机のように「よく滑る」条件を満たしている。
色々調べてみると、Logicoolのハードマウスパッド「G440t」が良さそうだ。(選定理由は、後に解説する。)
長年プロで活躍されている、『DustelBox』選手が、Razerと提携する前にずっと使っていた商品であることからも、信頼性も高い。
ここからは、結論で述べた、メリット・デメリットを、詳しく解説していこう。
ハードマウスパッドのメリット
摩擦力が低い =よく滑る
ハードマウスパッドは、元々高DPI・ハイセンシのプレイヤーが、マウスの細かい動きをスムーズに行えるように開発された商品で、とにかくめちゃくちゃ滑る。
先ほど「俺の机の表面と同じかも?」と書いたが、実際は、コチラの方がさらにマウスが滑る。
なので、当時使っていたRazer Viper 有線では、同じ滑走感覚を得ることはできなかった。
しかし、今は当時と違い、最高のポテンシャルを持ったマウスたちを持っている。
摩擦力を上げるため、裏ブタを外して摩擦力を増したG PRO SUPERLIGHTと、ソールが4つ角にしか付いておらず、元々摩擦力の高いFinalmouse Ultralight2を試してみたところ、後者の滑走感覚が、「僕の机×Razer Viper 有線」とかなり近かった。
(これら2つのマウスは、文句なしの傑作なので、後日レビュー記事を書く。)
これにより、僕にとって一番やりやすいマウス環境を構築でき、エイム力は某記事のまま、再現性やソールの摩耗といったデメリットをクリアできたというわけだ。
このこともあり、最近はマウスでもプラチナランクをプレイしているが、おそらく今の調子だとすぐダイヤに行けるだろう。
マウス・パッド両方でダイヤはけっこう頑張ってると思うので、プロフィールに書いてもいいかもしれない(笑)
おっと、言い忘れていたが、パッドの記事で書いた「腱鞘炎になりやすい問題」も、この摩擦が少ないハードマウスパッドでは、半分くらい解消できた。(30分でダメだったのが、1・2時間程度なら大丈夫になったくらい)
なので、結論の所にも書いたように、ソフトマウスパッドでエイムに問題がない人も、手や腕を痛めやすいなら、導入を考えてみてもいいかもしれない。
商品はG440t一択
G440tを買う際にリサーチしたが、ハードマウスパッドはG440tほぼ一択でいい。
他にも、例えば『Razer Sphex V3』があるが、薄くて机の上で滑ってしまうらしいし、値段が高い。
また、『SkyPAD Glass 2.0』という、ガラスの高級ハードマウスパッドなんてのもあるが、デカくてガラスだとやはり持ち運びができないし、少なくともハードをお試しで買いたい人にとっては、1万越えは高すぎる。
(僕がこれだけデバイスの持ち運びを重視するのは、ゲームプレイヤーの最高峰として、オフライン大会があるからだ。
出場できるのは相当限られた人々であることは知っているし、そもそもウイルスの関係で近年開催が難しいが、一つの夢として、
自分からその可能性を閉ざさずに、どこでも成立させられるエイム環境で、ベストなパフォーマンスができるようにしておきたい。)
ハードマウスパッドは他にもあるので、気になる人は、ミオニ氏の『ゲーミングマウスパッドの滑り 比較リスト』を見てみよう。(ページの上から1/4らへん。)
僕も、ソフトマウスパッドでも代表的な商品を比較レビューするつもりだが、扱っている商品数ではミオニ氏の『DPQP』が圧倒的だ。
幅広い商品のレビュー記事が読みたい人は、ブックマークしておくことをオススメする。
ハードマウスパッドのデメリット
基本滑りすぎる
ハードマウスパッドは、「樹脂製の机よりもさらに滑る」と書いたように、イメージの2倍は滑ると思っておいた方が良い。
なので、相性の良いマウスも限られる。
今のところ、僕の解答は、「ソールが4つ角のマウス」だ。
なぜかと言うと、摩擦力が高いので、滑りすぎる表面と相殺させることができるからだ。
(『Artisan 零 一式』というマウスソールを使う手もあるが、通販サイトでは軒並み販売を終了しており、公式サイトでしか購入できないため、ハードルが高く、僕はやめておいた。)
ちなみに、マウスソールの素材とマウス自体の重さを度外視すれば、マウスソールの面積が小さいほど、摩擦力が高い。
これは、摩擦力が「摩擦係数×垂直抗力」で求められることに起因する。
まず、摩擦係数はソールの表面の素材が滑りやすいかどうかなので、ここでは触れない。(あえて書くと、マウスとは別に専門的に売ってるやつの方が、基本滑る)
そして垂直抗力は、地面から跳ね返ってくる、「地面にかかる圧力と等価の力」なわけだが、これは「マウスの重さ÷ソールの面積」で求められる。
(押しピンがなぜ壁にぶっ刺さるのかというと、この面積の部分を限りなく0にすることで、圧力を限りなく増幅するから。包丁が切れるのも同じ。)
ソールの面積はマウスによって違い、おおまかに分けると、先ほどのGPRO X SUPERLIGHTやBENQ Zowieシリーズのように、裏面の上下についているものと、今回使用したFinalmouse Ultralight2のように4つ角にちょこっと付いているものがある。
後者の方が面積が小さいのは自明なので、こちらの方が摩擦力が高くなるケースが多い。(実際には、マウスの重さにもよる。)
あと、こういう時は極端な例をイメージしたら分かるが、裏が全面ソールなのと、4つ角のやつの1個分が中央にピッと貼ってあるやつじゃ、前者は4ぬほど滑って飛んでいくし、後者はめっちゃ動かしにくいと、すぐ察しがつく。
(ちなみに、これと全く同じ考え方に手の重さを考慮して、ADSの設定について解説した記事を、貼っておく。人口的には「ホールド」が多いが、Aimbot6974・Zederなど、強い人で「切り替え」もいる、知っておいて損はない知識だ。僕ももう一度試してみようかなと思う。)
今回は、これらの考え方も念頭に置いて、持っているマウスたちを試し、Ultralight2に落ち着いた。
読者の方も、ハードマウスパッドを試す際は、4つ角ソールのマウスをオススメする。
丸められないので、持ち運びには不向き
G440tは、分厚い下敷きのような商品なので、持ち運ぶには面積以上のバッグがいる。
しかし、重さ自体はそこまで重くなく、同じLogicool製のソフトマウスパッド「G640r」と比べると、3/4程度の重さだ。
参考程度に。
面積が小さく、低感度には向かない
G440tのサイズは縦28cm・横34cm。
同社のソフトマウスパッドG640のLサイズは、縦40cm・横46cmなので、一回り以上小さい。
上述の通り、元々の用途が高DPIの高感度向けなので仕方ないが、400DPIで言う感度2台後半=振り向きでいう20cm以下でないと、少し狭すぎる。
ちなみに、高感度勢のDPIには2パターンあり、ItzzTimmyやStylishnoobなどの「1800」と、SPYGEAの「800」がある。(全員振り向き約10cm以下。)
個人的には、低感度・高感度関わらず「800」をオススメしたい。
感度統計の記事には400・800どちらでも良いと書いたし、実際そうなのだが、僕は400だと体感感度が低すぎるし、普段使いでも腕を振るのでしんどいと思っている。
(普段使いの件は、それ用のマウスを用意すればいいと思いがちだが、普段から使っていた方がより手に馴染むと考えている。手の混乱を避けるためにも、FPSで使うマウス以外への慣れは、むしろ不要だ。)
また、「1200」も感覚が鋭いなら悪くはない。(Apexでの有名プレイヤーはRasくらい。)
僕は自分では400よりは1200がいいと思っているのだが、今回紹介したハードマウスパッドが合う人種なので、ベーシックなフィーリングとは言い難い。
各々使用マウスのソフトウェアで調整し、ベストな値を探そう。(DPIは、ベストな値がはっきりと存在し、感度を変えても固定しておくのが良い。)
おわりに
今回は、以前紹介した裏技(?)を一般化した記事となった。
ハードマウスパッドは、FPS界では目立たない存在だが、実は愛好者がいる。
先ほど書いたDustelBox選手の他にも、先日キーマウ練習法の記事で紹介した、『GodAimAkira』氏がブログで紹介している、元CS:GOプロの『n0thing』氏もその一人である。
「n0thingによるエイム理論」(GAAブログ)
また、Apexの日本人プレイヤーでは、元SCARZ WhiteのSTEEEAL選手も、G440tを使用しているようだ。
タイトル通り、僕のように「合う人はめちゃくちゃ合う」ので、食わず嫌いせず試してみるのも良いかもしれない。
今後はソフトマウスパッドのレビューもできたらと考えている。
ずっと欲しかった「Artizan 零 MID」(Ras・Kawase使用)が注文できたので、元々持っていたマウスパッドと合わせて、こちらもメリット・デメリットなど、考察できたらと思う。
今回は以上だ。また次の記事で。
P.S. 今回紹介した、G440tが滑りすぎるという人には、スピードタイプのソフトマウスパッド・Artisanの「飛燕」や上位モデルの「疾風 乙」、「雷電」が良さそうだ。
いつか、購入できたらレビューしたい。